ミラノ・コルティナオリンピック以降、一気に注目を集めているフィギュアスケートのペア「りくりゅう」。
三浦璃来さんと木原龍一さんの演技を見ていると、そのスピードと安定感に思わず引き込まれますよね。
実はその圧倒的な滑りの裏側に、ある“日本のものづくり”が関わっているのをご存知でしょうか。
それが、足元を支えるブレード(刃)。
そしてそのブレードを手がけているのが、株式会社山一ハガネです。
この存在を知ったとき、私は思わず胸が熱くなりました。
りくりゅうを支える山一ハガネのYSブレード
りくりゅうが世界に挑戦し続ける中で選んだのが、山一ハガネの「YSブレード」。
ペア競技ではジャンプやスロー・高難度のリフトなど、足元にかかる負担は想像以上に大きい。
特に木原龍一さんのようにパートナーを支える側には、より高い安定性と強度が求められます。
当初は木原選手のみが使用していたそうですが、三浦選手も使用し始めてから
「おいていかれる感覚がなくなった」
と語られています。
あのスピード感と一体感の裏側には、ブレードの精度があったのだと思うと、見え方が変わってきますよね。
シーズン後には、お二人で山一ハガネを訪れ、感謝を伝えているそうです。
山一ハガネがフィギュアのブレードを作り始めたきっかけ
そもそも、なぜ山一ハガネがフィギュアスケートのブレードを作ることになったのか。
その背景には、元オリンピック選手・小塚崇彦さんの強い想いがあります。
従来のフィギュアスケートのブレードは、3つのパーツを溶接して作られていました。
しかしこの構造には課題があり、特に男子シングルのように高難度ジャンプを行う場合、1〜2ヶ月で破損することもあったそうです。
さらに、人の手による製造のため、微妙な誤差が生まれる。
つまり選手は、道具に自分を合わせるしかない状況でした。
本来、パフォーマンスを支えるはずの道具が、逆に制約になってしまっていたのです。
その課題を解決するために、小塚さんが山一ハガネに依頼し、試行錯誤を重ねて生まれたのがYSブレードでした。
山一ハガネの耐久性
山一ハガネは、特殊鋼の加工・製造を手がける日本の企業。長年にわたって高精度の刃物・金属加工分野で技術を磨いてきました。
ブレード製造においても、従来の「溶接」という常識にとらわれず
10kg以上の鋼の塊から、約270gのブレードを削り出す
という方法を採用しました。
元世界王者の宇野昌磨選手が、同じブレードを3年以上使用していたという話からも、その耐久性の高さが分かります。
・精度の高さ
・エッジの安定性
・圧倒的な耐久性
こうした評価が広まり、国内外の選手から注目を集める存在となりました。
効率ではなく「挑戦」を選んだ会社
この話を知ったとき、私は強く心を動かされました。
正直に言うと、このブレード開発は最初から利益が見込めるものではなかったはずです。
むしろ、時間もコストもかかる“非効率”な挑戦。
それでも「より良いものを作りたい」という想いから始まった。
その姿に、ものづくりの本質を見た気がしました。
さいごに
りくりゅうの演技の美しさや強さの裏には、こうした見えない支えがあります。
華やかな舞台の裏で、静かに技術を磨き続ける人たちがいる。
その積み重ねが、世界の頂点につながっているのだと思うと、胸が熱くなります。
効率や利益だけでは語れない価値が、確かにここにはある。
こうした挑戦をする企業の存在を、これからも知っていきたいし、伝えていきたいと思います。



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