iDeCoの出口戦略を考えるきっかけ
2024年末、iDeCoの掛金上限引き上げという朗報とともに、退職所得控除の「改悪」が話題に。
これをきっかけに、初めてiDeCoの出口戦略について考えました。
iDeCoは所得控除というメリットもあるけれど、出口での税制に縛られやすいという特徴に要注意なのです!
例えば、NISAなら制度改正があっても、資産を引き出す時間的余裕と選択の余地があるけれど、iDeCoは60歳まではどうにもできない縛りがあり、税制変更に影響を受けやすいと。
60歳に近づいた時に考えようと何も考えていなかったけど、知っておかねば対応できないこともある。
そんなiDeCoの出口戦略についてまとめてみました。
iDeCoの出口戦略が難しい理由
iDeCoの出口戦略が難しいと言われる理由は、受け取り方による課税方式の違いのため。
《適応される税金控除》
- 一括受け取り:退職所得控除
- 年金形式で受け取り:公的年金等控除(他の公的年金などの収入と合算)
個人によって控除額や税負担が異なるため、出口戦略はNISAのように一律でわかりやすい答えはないのです。ライフプランや収入状況によって最適な選択が変わるので、慎重な判断が必要。
また、「iDeCoの改悪」と言われるように、長年積み立てている間の制度変更に対する不安もあります。
iDeCoが「改悪」と言われる理由
最近「iDeCoが改悪」という声が聞かれるのは、退職所得控除に関する変更案が影響しております。
退職金とiDeCoの金額が多い方は、iDeCo受け取りタイミングを慎重に調整する必要があるのです。
iDeCoの受け取り→企業からの退職金を受け取る場合
退職金控除をフル活用するためには、現在はiDeCoの受け取りと企業からの退職金受け取りの間隔が5年以上空いていればOKだけど、10年に延長される案が出てきました。この変更で控除を最大限活用するのが難しくなる可能性があります。
2025年から「65歳までの雇用確保」が完全義務化になりました。
しかし勤務延長ではなく、再雇用の場合では退職金を一旦60歳でもらうことになる可能性もあります。その場合、現在の制度でも5年以上あけることはできない…。
企業からの退職金を受け取る→iDeCoを受け取る場合
逆に、企業からの退職金を先に受け取ってからiDeCoの受け取りをする場合、19年ルールが適用され、満額の退職所得控除を利用するためには20年の空白期間が必要です。
そのため、iDeCoの受け取りは最大で75歳まで可能なので、早期退職を選んで55歳までに企業からの退職金を受け取るという選択肢もあり??
退職所得控除の計算例
退職所得控除の計算式はこちら。
<退職所得控除の計算方法>
- 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数
- 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)
例)iDeCo加入期間が30年の場合
- 勤続20年分:40万円 × 20年 = 800万円
- 追加10年分:70万円 × 10年 = 700万円
- 合計:1,500万円
この計算により、30年iDeCoに加入していた場合、満額の退職金控除を利用できると1,500万円までは非課税で受け取れるということです。
1500万円を超えた部分については、超えた額の1/2のみが課税対象になります。
この退職所得控除の制度が変更にならないことを祈るばかり。
注意点:掛金にも税金がかかります
そもそもiDeCoは引き出す時に運用益だけでなく、掛け金部分にも税金がかかるのですね。
税の繰延べによる所得税控除。掛金と所得税率によって効果は人それぞれ。
一括受け取りと年金形式受け取りの比較
資産額が1,500万円を超える場合は分割受け取りが有利なことが多いようです。
半分は一括、残りは年金形式も可能。
受け取り方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
一括受け取り | 退職所得控除を活用し非課税枠が大きい | 一度に多額を受け取って使い切るリスク |
年金形式受け取り | 公的年金等控除を活用。分割して使える | 手続きが煩雑で税負担がかかる場合も |
私のiDeCo談
実は望む働き方を実現するためにiDeCoが始まった初期から利用しております。
退職金を自分で作る必要があると考えておりましたので。
どのような優遇かもよくわからないまま、何かしら良いらしいと始めました。
始めた当初は運用成績はマイナスで。
2020年頃から徐々に結果が出てきて喜びモードに。
ところが、改悪の話題がきっかけで、とある事実に気がつきました。
利用している証券会社のiDeCoに新プランが存在し、選べるファンドも違うのです。これも制度変更による商品数の上限ができたことがきっかけです。
取り扱いが中止になる商品があるというのは目にしていたけれど、整理されるだけで、新プランと商品が違うとは思っていなかった・・・。
新プランへ移行するには、証券会社が一度資産を売却して買い直す作業になると。
長い年月の間には、より良い方向への改善のためでも面食らうこともあるし、これからも何かしらの変更が加わる可能性は否めません。
終わりに
iDeCoは長期的な資産形成にとてもありがたい制度ですが、出口戦略や税制改正への理解も大切です。
今回の改悪の話題は、退職金がない場合はそもそも関係ない話で、掛け金アップという朗報のみという人もいます。
そしてこの記事を書いて気づいたのですが、退職金控除を目当てにするなら、年数を長くするために最低金額の月5,000円で年末までに始めてみても良いのかもしれない。ただ、途中で掛金をストップさせることは可能だけど、口座管理料はかかるし、引き出すことはできないので注意です。
長期にわたる制度だからこそ、最新情報をチェックしながら、最適な運用と受け取り方法などを意識してiDeCoのメリットを最大限活かしていきたいものです。
コメント