そら豆が美味しい季節になると、毎年のように作りたくなるのが、この「手作り豆板醤」。 ピリッとした辛さの中に、そら豆の甘みとコクがじんわり広がる。どこかやさしさも感じる、家庭ならではの味です。
旬のそら豆で作る豆板醤は、市販品では味わえない豊かさがあります。
今回は「茹でずにグリルで焼く」という少しユニークな方法で、そら豆の旨みを最大限に引き出すレシピをご紹介。 「調味料もできるだけ手作りで」と考える方にぴったりな、発酵の奥深い世界をお届けします。
豆板醤って何?
豆板醤(トウバンジャン)は、中国・四川料理には欠かせない発酵調味料。 そら豆を発酵させた味噌のようなもので、炒め物やスープに少し加えるだけで味に深みとパンチが出ます。
手作りの魅力:市販品にはない“旨みと香り”
そら豆の自然な甘みや、発酵によって生まれる深いコクは、手作りならではの醍醐味。 辛さも塩加減も、自分の好みに合わせて調整できるのも嬉しいポイントです。
手作り豆板醤の材料と割合
以下の分量は、そら豆の「中身(実)」を基準にした割合です。
- そら豆の実(皮をむいた状態):100g
- 米麹:30g
- 塩:15g
- 韓国唐辛子(粗挽き):15g
- 味噌(あれば自家製・たまり味噌推奨):15g
■ 下準備:そら豆を“焼く”のがポイント!
◎ そら豆は「グリルで皮ごと焼く」
茹でるのではなく、皮ごとグリルで焼く嬉しい効果はこちら。
- 豆の甘みがギュッと凝縮
- 水っぽくならない
- 香ばしさが加わる
という嬉しい効果が。
我が家では魚焼きグリル(切り身モード)を使用。 表面にこんがり焼き色がつくまで焼くのが目安です。 薄皮を剥いてそのまま食べても美味しいですよ。
◎ 焼いた後は、豆の外皮と薄皮をむく
焼き上がったそら豆は、外の硬い皮を剥きます。
さらに、中の薄皮も剥きますが…外の皮はまだ捨てないで!!
外皮の内側にある“ワタ”のようなトロッとした水分は捨てないでください!
これは発酵に役立つ天然の“水分&旨み”なので、一緒に使います。
■ 作り方:混ぜるだけでOK!
作り方はいたってシンプル!
- そら豆の実+ワタの水分の重さを量る
- 米麹・塩・韓国唐辛子・味噌を加える
- フードプロセッサーでなめらかになるまで撹拌
これで完成!
■ 保存方法と発酵のコツ
- 煮沸消毒した清潔な瓶に詰める
- 冷蔵庫で保管(1週間後からなじみ、1ヶ月ほどでコクが増します)
※常温でも発酵は進みますが、雑菌のリスクを避けるため冷蔵保存がおすすめです。
■ こんな料理に使える!
- 麻婆豆腐や炒め物の隠し味に
- 餃子のタレにちょい足し
- 野菜炒めの味付けに
- マヨネーズと混ぜてディップにも
■ 手作りならではの「豆板醤のこだわりポイント」
ここからは、実際に作ってみて気づいたちょっとした工夫や素材選びの理由をご紹介します。
◎ ワタの部分は、旨みと発酵を支える「影の主役」
グリルしたそら豆を剥くと、内側に“ワタ”のようなトロッとした部分があります。
このトロッとした部分には、そら豆由来の水分・糖・アミノ酸が豊富。 麹菌や酵母の栄養源になり、自然な発酵を助けてくれます。 また、そら豆特有の甘みとまろやかさもアップ。
◎ 韓国産粉唐辛子が良い理由
唐辛子は、中国産よりも韓国産(粗挽きタイプ)がおすすめ
- 辛さがまろやかで風味豊か
- 発酵との相性がよく、味がまとまりやすい
- 色も鮮やかで見た目も美しく
辛すぎない分、そら豆の甘みもしっかり感じられます。
◎ 味噌を加える理由は
これは、実際に私が何度か作って感じたことなのですが…
グリルしたそら豆で作ると、パサつきがちなんです。
少し水分を加えたくなりますが、水分を足すと雑菌が増えやすいため、代わりに「たまり味噌」を少し加えています。
- 適度な水分で混ぜやすくなる
- 発酵のスターターとして作用
- 味に深みとまろやかさが出る
もしおうちに熟成系の味噌がある方は、ぜひ少し加えてみてください。
■ おわりに
そら豆の旬が楽しみになる、贅沢な手作り豆板醤。
素材の扱い方や組み合わせを少し工夫するだけで、仕上がりがぐっと変わってきます。
発酵が進んでいく変化を楽しみながら、あなただけの“味”を育ててみませんか?自家製だからこそ出せる深い旨み。ぜひ、あなたのキッチンで体験してみてください。
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